Li-Mn-O 系の詳細説明
この系はリチウムバッテリーの技術的な分野で有名なけいである。
材料特性と電気化学的特性は室温近傍でよく検討されており、高温挙動もよく研究医されている。特に電気化学的挙動は新たな相の核形成無しで信仰するので、電気化学的性質に関連した相関係は真に平衡的に安定な化合物間の相平衡に隠されることもあり得る。
- 文献:
- 287. Li-Mn-O:
(a) Zhang, W., Cupid, DM., Gotcu, P., Chang, K., Li, D., Du, Y., Seifert, HJ.,
Chem. Mater. 30, 2287-2298 2018.
(b) Wang, M., Navrotsky, A.,
J. Solid State Chem. 178, 1230-1240 2005.
(c) Wang, M., Navrotsky, A.,
J. Solid State Chem. 178, 1182-1189 2005.
(d) Cupid, DM., Li, D., Geberet, C., Reif, A., Flandorfer, H., Seifert, J.,
J. Ceram. Soc. Japan 124(10), 1072-1082 2016.
(e) Paulsen, JM., Dahn, JR.,
Chem. Mater. 11, 3065-3079 1999.
(f) Luo, C., Martin, M., J. Mater. Sci. 42, 1955-1964 2007.
- MALT中のLi-Mn-O 化合物
Li-Mn-O 系では、一連の固溶体は、擬似的な個別化合物として格納している。定比化合物のあるものは異なる組成をもつ化合物間の固溶体のエンドメンバーと見なすことができる。このような固溶体の混合エントリピーを適正な大きさに辞するために、いくつかの定比化合物はより小さな分子式を用いて表した。
- 定比化合物
LiMn2O4.5 should be 1/2 {Li2Mn4O9}
LiMn1.75O4 should be 1/4 {Li4Mn7O16}
Li1.333Mn1.667O4 should be 1/3 {Li4Mn5O12}
Li2MnO3
LiMn2O4
- Li1-xMn2O4シリーズでの個別化合物
このシリーズでいくつかの組成を追加した。
Mn2O4
Li0.125Mn2O4
Li0.25Mn2O4
Li0.375Mn2O4
Li0.5Mn2O4
Li0.75Mn2O4
Li0.875Mn2O4
LiMn2O4
- Li1+xMn2-xO4シリーズでの個別化合物
このシリーズでいくつかの組成を追加した。
LiMn2O4
Li0.9Mn2.05O4
Li0.8Mn2.1O4
- Li1-2xMn2+xO4シリーズでの個別化合物
このシリーズでいくつかの組成を追加した。
LiMn2O4
Li1.1Mn1.9O4
Li1.2Mn1.8O4
Li1.3Mn1.7O4
Li1.333Mn1.667O4: 1/3 {Li4Mn5O12}
- 室温での相関係
- 室温での相関係を電気化学的挙動を理解できるように検討した。 Li-Mn-O 正極に関するLiバッテリーの典型的な観測結果はつぎのようである。
- 3 V 近辺の電極電位は LiMnO2 と LiMn2O4 の反応に帰属される。
- 4 V 近辺の電極電位は LiMn2O4 と Mn2O4 の反応に帰属される.
- 第1の反応に対応する電位変化はステップ状なので定比化合物が関与しているが、第2の反応ではなめらかに変化しているので、 スピネル相中のMn2O4, LiMn2O4, および Li4Mn5O12(ここでは Li1.333Mn1.667O4) が関与していると考えられる。
MALTデータベースの現在の組み合わせからいくつかの相変更関係を見ることができる。
- LiMnO2-LiMn2O4-Mn2O4 ライン
電気化学的挙動に関連した最も単純な関係は MnO2 と下記に記した化合物を除外することで見ることができる。
表 1. MnO2に追加して除外した化合物

化学ポテンシャル図をMALTメインデータベースから検索した後に作図した。この手続きでは上の表に記載した化合物を考慮した。すなわち MnO2, LiMn1.75O4(Li4Mn7O16), LiMn2O4.5(Li2Mn4O9), Li1+xMn2-xO4, 並びに Li1.333Mn1.667O4(Li4Mn5O12)は除外した。:

図 1 電気化学的挙動に関連した相に焦点を当てた Li-Mn-O 系室温でのCHD線図
- LiMnO2 と LiMn2O4 の境界線が log a(Li)一定値を示していることに注意。
- この境界線は Mn3O4 と Li2MnO4の安定域に挟まれている。
- LiMn2O4 と Mn2O4 の境界線は Li1-xMnO4 固溶体に属するいくつかの相から成り立っていて、充放電時の平衡電位が Li1-xMn2O4 固溶体中のLi濃度に依存することを示している。
- 安定相の影響 No.1
最初に、Li1-xMn2-xO4 相の影響を次の場合において考察する。

図2(a) Li-Mn-O系の室温でのCHD 線図:
上の図にLi1.1Mn1.9O4 が加えられている。

図2(b) Li-Mn-O系の室温でのCHD 線図:
上の図にLi1.2Mn1.8O4 と Li1.333Mn1.667O4 が加えられている。
- これらの相は LiMn2O4 の隣の相として現れている。このことは LiMn2O4 との固溶体の一部であることがわかる。
- 興味深い点として、Li1-Mn2-xO4 相の出現により LiMn2O4 とMn2O4 の境界域が多く隠されていることであろう。
- このことは、実際の電気化学的な充放電過程で生じる組成変化のラインがスピネル相の3角形領域のLi-リッチ側を通るのではないかという議論と良く整合する。
- 安定相の影響 No.2: 完全平衡
次に、完全な平衡条件下での相関係を導出する。つまり、除外する化合物無しで作図を行う。

図3 Li-Mn-O系の室温でのCHD 線図:
完全平衡
- LiMn2O4 相が中間領域に現れるが、4V 級電極に関連する相は化学ポテンシャル図内には現れない。
- 高温相平衡
- Li組成 Vs 温度線図が次のように報告されている。
最初に、実験的に決められた高温相図を以下に示す。

図4 Li-Mn-O 系空気中の高温相図(文献287(e)のFig.1から再現し、本ページで使用している化合物番号を付した。): 完全平衡
- (Li+Mn)に対するLi濃度が水平軸に与えられているが、各相における価電子は非常に異なる。
- 例えば、Li2MnO3 は、1273 Kでも4価を示す。
- LiMn2O4 中では価電子は約 3.5 である。
- 温度が下がるに従い、Li1+xMn2-xO4 相中の価電子は増加しLi4Mn5O12中で4に達する。
- Mn3O4 相中では、Mn価電子は 2*2/3 である。
- 673 K 近辺で、LiMn1.75O4 と Li0.33MnO2 相が低温域での安定相として現れる。
- 高温空気中での化学ポテンシャル図
次の二つの場合について、化学ポテンシャル図を用意した。

図5(a) 高温空気中での Li-Mn-O 系CHD線図
完全平衡
- 1300 K において Mn3O4, LiMnO2 および Li2MnO3 の3相が安定である。
- 1200 K 近辺で、LiMnO2 が Li0.8Mn2.1O4 と Li2MnO3 相に分解するが、図4とよく一致する。
- スピネル相の組成が温度が下がるに従って Li0.8Mn2.1O4 から Li1.333Mn1.667O4 に変化するが、図4の挙動とほぼ同じである。
- 670 K 以上で、LiMn1.75O4 相が MnO2 と Li1.333Mn1.667O4 の間に現れるのも図4と一致する。
- ただし、化学ポテンシャル図上では Li1-xMnO2 相は出現しない。

図5(b) 高温空気中での Li-Mn-O 系CHD線図:
MnO2 と LiMn1.75O4 相を除外。
- 420 K 付近で Li0.25Mn2O4 相が現れる。
- まとめ
今回のLi-Mn-O系熱力学データの導出では、高温相平衡とともに完全な平衡状態ではない条件下で得られていると判断した電気化学的挙動とを再現できるように行われた。
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