熱力学データフォーム:入力、編集
熱力学データの編集フォームは
このフォームには次の3つのページとボタンとが用意されている。
(1) HGS_298 ページ
(1-1)化合式及び名称
- 化学式の入力用です。
- MALT では 化合物名の入力に関する特別な規約を採用しています
- 化学式を解読して元素ごとの化学量論数を与えます。
- 化学式の解読に失敗すると、エラーメッセージが表示されます。
- 化学量論数の入力ミスは、入力された化学量論数と熱力学関数から導かれる計算結果に著しい間違いを生じ得ます。
(1-2) 状態情報
- 298.15 Kにおける相記号 :
- g, a, l, s, cの中から選択します。MALTデータベースでは、気相にg、水溶液にa,液体にl、結晶相にc,を用いています。更に、固体にsを用いることも可能です。
- 全温度範囲での相の記号
- 高温相はs, l, sl, a, g の中から選択します。sは、結晶相、無定型相も含みます。
- この規約のため、気相と水溶液相は単一相として準備するのに対し、固体と液体では、一つの化合物データに混在させることができます。
- この違いは、メニュー:ツール/データ変換を選択して混合相フォームでデータ変換するときに重要となります
(1-3) 298 K における関数
- 基本的な三熱力学関数:
- 298.15 Kにおける標準生成エンタルピー変化
- 298.15 Kにおける生成ギブズエネルギー変化
- 298.15 Kにおける標準エントロピー
- 整合性チェックボタン
- これは、上の3関数と化学量論数の値から次の関係を用いてその整合性を調べるためです
- ΔfG = ΔfH - T ΔfS
- ΔfS(AlBmCn) = S298(AlBmCn) - l S298(A) - m S298(B) - n S298(C)
- MALT データベースでは S298(A), S298(B) および S298(C)の値を用意しています。
- 別の入力条件チェックボックス: この三関数は標準気圧が1気圧、エネルギー単位がジュールの時の値として与えられているが、標準圧力が100,000 Paの値、あるいはcal単位での数値を入力したい場合もあり得る。このような値を入力できるように、このチェックボタンが用意されている。
(1-4) 高温相
- 熱容量データの数: この値は0以上10以下でなければなりません。
- 熱容量データ設定ボタン: このボタンを押すと、高温熱容量の数だけそのページを作成します。
(2) 高温熱容量
指定した相の数に応じて、高温熱容量ページが作成される。それぞれの相について、次の情報を入力する必要がある。
(2-1) 相の名称と記号
- 名称 : 高温相の中で現在の状態を特定する相の名前です。通常、アルファー相、ベータ相などと命名されていれば、それを採用します。例えば Al2O3 alpha のようになります。
- 記号 : MALTデータベースでは、次のような相の記号が採用されています。: c1, c2, c3,,, l, l1, ここでいくつかの多形がある場合には番号付けが採用されています。
(2-2) 熱容量係数
熱容量係数a, b, c, d, e は次の式のように定義されています。
- Cp / J mol-1 K-1 = a
+ b * 10-3 T/K
+ c * 105 (T/K)-2
+ d * 10-6 (T/K)2
+ e * 108 (T/K)-3
最初の3項は典型的な高温熱容量の温度依存性を表すためによく使われます。第4項は高温で上昇する傾向を表現するためのものです。第5項は高いデバイ温度持つ化合物の中間温度での挙動を表現するために導入されます。
(2-3) 温度範囲
現在の熱容量係数の有効温度領域を次のような値で与えるものです。
- 下限:前の相がある時には、この値はその相の上限と同じでなければなりません。
- 上限:次の相がある時には相転移温度となります。
(2-4) 相転移データ
上限が相転移温度の対応している時には、次の情報を入力します。
- Delta H : kJ/molで表される相転移エンタルピー
- 記号 : MALT では次の記号を用いています。
- mp : 融解温度t
- tp : 転移温度
- dp : 分解温度
- bp : 沸騰温度
- mtp :磁気相転移温度
- ltp :ラムダ相転移温度
- $ : 物理的な意味はありません
(2-5) 相関連ボタン
- 前へ : 前の高温熱容量ページに移動
- 次へ : 次の高温熱容量ページに移動
- 挿入 : 新しい高温熱容量ページを現在のページの次に加えます。
- 削除 : 現在の高温熱容量ページを削除します。
- コピー : 熱容量係数をテキスト形式としてクリップボードに格納する。
- ペースト: クリップボードが熱容量のデータである場合には、テキストを各係数フィールドに転送します。
- 設定終了: 現時の高温熱容量ページの編集を終えます。
(3) コメントページ
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